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心理学の研究方法を知る

本の山

HSPの理解を深めるために、心理学の勉強が役に立つと述べました。HSPをテーマに卒業研究をしたい人や専門性を高めたい人向けの話として、もう一つ大切なポイントを挙げたいと思います。


それは心理学の研究方法を知ることです。HSPを専門的かつ科学的に理解するためには、心理学がどのように研究されているのかを知ることが役に立ちます。


心理学は、ヒトの心や行動についての科学です。簡単にいえば、心理学の研究は、ヒトの心や行動について、適切な手続きで適切な数のデータを集め、それを統計的に分析することによって成り立っています(もちろん事例などを扱う質的研究も心理学の研究です)。心理学にもとづくHSPの研究も例外ではありません。

科学的なリテラシーの話

SNSのアカウントなど、個人が発信するHSP情報の多くは、良くも悪くも科学的な根拠(エビデンス)にもとづくものというより、誰かの経験(主観)にもとづいているようにみえます。


自分の経験は身近なものです。例えば、「学校教育」を挙げると、誰もがそれを経験してきたので、何かしらの考えを述べることは容易でしょう。自分の心(あるいはHSP)についての経験も、これまで数十年、自分(心)とともに生きてきたのでしょうから、これと同じことが言えます。
 

とはいえ、個人のHSP経験談は、必ずしも「HSPが○○である」ことを表すわけではありません。少し専門的に言い換えれば、個人の経験は、HSPを説明する事柄として必ずしも「一般化」することができないのです。


これは当然のことだと思うかもしれません。ですが、個人のHSP経験談が書かれたSNSの投稿を、「すべてのHSPが経験するもの」と読み取ってしまう方もいるようです。あるいは、個人の経験談を「すべてのHSPが経験するもの」だと発信される方もいます。

個人の経験談と研究にもとづく情報の違い

では、科学的な根拠にもとづくHSP情報については、どのように考えることができるでしょうか? もちろん、これも個人の経験に必ずしも当てはまるものではありません。ですが、たしかな研究実践にもとづく知見は、HSPの全体的な傾向を説明するものとして「一般化」して述べることができます。


例えば、私の経験にもとづきHSPを論じる場合、「一般的にHSPは○○だ」とはいえません。しかし、研究の知見にもとづく場合、「一般的にHSPは○○な傾向がある」といえます。両者の情報の質の違いは大きいです。


次のページ(05)では、科学(心理学)の手続きに沿ってHSPを研究することの意義について詳しく見ていきましょう。

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