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心理学の入門書を読む
HSPをさらにもう一歩理解するためにおすすめなのが、心理学の専門書を読むことです。その際に大事なのは、「どのような書籍を選ぶか」だと思います。
避けたい本
はじめに避けるべき点を書いておくと、いわゆる自己啓発本などの「一般書」は基本的に選択肢から外した方がよいかもしれません。
ここでいう「一般書」とは、よく書店の「心理学読み物」コーナーに平積みされているような「相手の心を思うままにあやつる○○心理学」「メンタリスト△△が教える○○心理学」といったタイトルの本です。目を引くタイトルでちょっと気になりますよね。
「一般書」は読みやすいかもしれません。しかし「一般書」には、研究者が蓄積してきた心理学的知識よりも、研究にもとづかない著者自身の経験や意見も比較的多く含まれるでしょう。本文中で「○○大学の研究によると…」と書かれていても、出典が明示されていないこともあります。心理学者ではない人が書いていることも多いです。
そのため、心理学を専門的に学ぶための教科書として用いるのは原則として避けたほうがよいでしょう。もちろん「一般書」の中でも心理学を学ぶのに適した本はありますが、はじめて心理学を学ぶ人がそれを見極めるのはなかなか難しいと思います。
教科書として選ぶべきなのは、心理学者が執筆した専門書とよばれるタイプの本です。
このようなタイプの書籍は、比較的大型の書店でないと取り扱っていないかもしれません。例えば、新宿の紀伊国屋書店や池袋のジュンク堂書店には、専門書が豊富に置いてあります。また、大学の生協(書店)や大学の図書館にも置いてあるでしょう。身近にそのような大型書店がなければ、Amazonで取り寄せることもできます。
では、具体的にどの専門書を読んだらよいでしょうか?
選びたい本
心理学を専門的に学びたい方々には、心理学の「全体像」が書かれた「入門書」を読むことをおすすめします。
はじめに入門書を読むことで、「心理学がどのような学問なのか」「心理学にはどのような領域があるのか」「心理学の各領域ではどのようなことが分かっているのか」など、心理学の全体像をつかむことができます。
余談ですが、心理学を学ぶことは、人の心や行動について学ぶことと同義です。HSPへの理解が深まるだけでなく、自己や他者を含む人間そのものの理解にとっても役に立つでしょう。
はじめはどの入門書を選べばよいかわからないと思いますので、評判のよい書籍をいくつか挙げておきたいと思います。
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「心理学・入門 心理学はこんなに面白い 改訂版」,サトウタツヤ・渡邊芳之(著),有斐閣アルマ
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「心理学 [第5版]」,鹿取廣人・杉本敏夫・鳥居修晃(編),東京大学出版会
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「はじめて出会う心理学 第3版」長谷川寿一・東條正城・大島尚・丹野義彦・廣中直行(著),有斐閣アルマ
上記の書籍は、大学の心理学部で教科書として用いられることが多いです。もちろん読みやすい入門書は他にもありますし、好みの問題もありますので、実際に書店で手に取って購入してみるのもよいです。
はじめて心理学を学ぶ人にとっては、入門書ではじめて目にする専門用語の難解さに圧倒されてしまうかもしれません。また、おそらく小説のようには、すらすらと読むことは難しいでしょう。一つ一つの文章を読解し、噛み砕きながら進む必要があると思います。
小学生の時、難しい「漢字」や「かけ算」を反復したりしながら覚えたように、心理学でもそのような過程が必要な場合もあるでしょう。
HSPをもう一歩深く理解するためには、入門書で心理学の全体像を理解することは大切です。次のステップでは、心理学の中でもとくにHSPと関連が深い領域の専門書を読むことをおすすめします。